相続手続き、ネットで調べて自分で進めてはダメなのですか?

相続手続き、ネットで調べて自分で進めてはダメなのですか?

結論:ダメなことはありません。今はネットに分かりやすい情報が多く、自分で進められる手続きもたくさんあります。ただ、私なら、手を動かす前に一度だけ「自分の家の全体」を誰かと一緒に確かめます。ネットの情報は多くの人に向けた一般的な話なので、自分の家の事情に当てはまるかどうかを確かめてから進めると安心だからです。

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  • 自分で進められる手続きと、確かめておきたい手続きの仕分け
  • 相続放棄・相続税・相続登記などの期限の整理
  • 実家などの不動産をどうするかの考え方

代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。準備がそろっていなくても大丈夫です。

こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。不動産の仕事に40年近く携わってきて、相続した家や土地のご相談もたくさん伺ってきました。

このコラムは「どうしてダメなのですか?」というシリーズです。みなさんが心の中で思っている素朴な疑問に、私ならどうするかをお話ししています。今回は「相続手続き、ネットで調べて自分で進めてはダメなのですか?」という疑問です。

はじめにお伝えしたとおり、ダメなことはありません。自分で調べて、自分で進めようとする姿勢は、とても立派なことです。そのうえで、相続には法律、登記(家や土地の持ち主を国の記録に書くこと)、税金、不動産の値段、家族の気持ちが重なっているということを、お話ししておきたいと思います。

自分で進めたいと思うのは、自然なことです

相続の手続きを自分でやってみようと考える方は、たくさんいらっしゃいます。

ネットの情報には、良さがたくさんある

今は、国や役所のホームページ、法務局の案内、専門の方が書いた記事など、ネットに分かりやすい情報がたくさんあります。夜中でも、自分のペースで、何度でも読み返せます。必要な書類の名前や手続きの流れを知るのに、とても役に立ちます。

私たち士業会のコラムも、ネットの情報の一つです。読んでくださる方が少しでも安心できるようにと思って書いています。ネットで調べること自体は、むしろおすすめしたいことです。

「人に頼むほどではない」と感じる気持ちも分かる

「財産はそんなに多くないから」「家族の仲はいいから」「人に頼むのは気が引ける」。そう感じて、自分で進めようと考える方も多いと思います。そのお気持ちはよく分かります。

実際に、内容によっては自分で進められる手続きもあります。大切なのは、「自分で進めてよいところ」と「一度確かめたほうがよいところ」を見分けることです。

ネットの情報は「一般的な話」だということ

ネットの情報はとても便利ですが、一つだけ知っておいていただきたいことがあります。

多くの人に向けて書かれている

ネットの記事は、たくさんの人に読んでもらうために書かれています。そのため、どうしても「よくある場合」を前提にした一般的な説明になります。これは記事が悪いのではなく、読む人一人ひとりの事情を書き手が知ることはできないからです。

相続は、家族ごとに事情が大きく違います。相続人が誰か、遺言があるか、借金があるか、不動産がどこにあるか、家族がどう考えているか。同じ説明でも、事情によって当てはまる場合と当てはまらない場合があります。

情報が古くなっていることもある

相続の決まりは、ときどき変わります。たとえば、相続登記は2024年4月から義務になり、相続で取得したことを知ってから原則3年以内に行うことになりました。書かれた時期によっては、今の決まりと違う説明が残っていることもあります。

ネットで調べるときは、いつ書かれた記事か、国や役所の案内と同じ内容かを確かめると安心です。

自分で進めやすいことと、確かめたほうがよいこと

私の経験から、自分で進めやすいことと、一度確かめたほうがよいことを表にまとめました。あくまで目安で、ご家族の状況によって変わります。

手続き・考えること 自分で進めやすさの目安 確かめておきたい点
戸籍などの書類集め 役所の案内を見ながら進めやすい 相続人が誰か、もれなく分かっているか
預金の手続き 銀行の案内にそって進めやすい 家族の話し合いがまとまっているか
相続放棄 期限があるので慎重に 原則3か月以内。家財の処分などで放棄できなくなる場合がある
相続登記(家の名義) 法務局の案内もあるが、事情によって難しさが変わる 誰の名義にするか、古い名義が残っていないか
相続税の申告 財産の内容によって大きく変わる 申告が必要か、期限は翌日から10か月以内
実家を売る・残す 家族の気持ちと税金が関わる 特例の条件、家族の同意、名義

書類集めや預金の手続きは、案内を見ながら進めやすい

戸籍などの書類集めや、預金の手続きは、役所や銀行の案内がていねいなことが多く、自分で進める方もたくさんいらっしゃいます。分からないところは窓口で聞けば、親切に教えてもらえることが多いでしょう。

ただ、戸籍を集めてみたら、知らなかった相続人が見つかったということもあります。書類集めの途中で「あれ?」と思うことがあったら、そこで一度立ち止まってください。

期限があるものと、不動産は慎重に

相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った時から原則3か月以内という期限があります。また、相続放棄を考えている人が家財を処分したり家を売ったりすると、放棄できなくなる場合があります。ネットで「片付けは早めに」と読んで動いてしまう前に、借金がないかを先に確かめることが大切です。

実家などの不動産は、名義、家の値段、税金、家族の気持ちが一度に関わります。親が住んでいた家などを売るときは、条件を満たすと売却益から最大3,000万円を差し引ける特例がありますが、売る期限などの条件があります。自分で調べて進める場合も、売る前に一度確かめていただきたいところです。

私なら、こう進めます

では、私が自分の家の相続を進めるとしたら、どうするか。お話ししてみます。

手を動かす前に、全体を一度だけ確かめる

私なら、書類集めを始める前に、相続人が誰になりそうか、財産に何があるか(借金も含めて)、実家をどうしたいか、家族はどう考えているかを紙に書き出します。そして、その紙を持って、全体を見てくれる人に一度だけ確かめてもらいます。

全体が見えていれば、「ここは自分でできる」「ここは確かめてから」と仕分けができます。自分で進める部分が多くても、最初の地図があるだけで、迷いが少なくなります。

期限を一枚の紙に並べておく

相続放棄は原則3か月以内、相続税の申告は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内、相続登記は取得を知ってから原則3年以内。こうした期限を一枚の紙に並べて、冷蔵庫など目につくところに貼っておくと、うっかりを防げます。

どこに相談できるか知りたい方は「相続の無料相談はどこでできる?」もあわせて読んでみてください。

「おかしいな」と思ったら、そこで立ち止まる

自分で進めていると、ネットに書いてあることと自分の状況が少し違う、と感じる場面が出てくることがあります。知らない借入れの書類が出てきた、名義が祖父のままだった、家族の一人と連絡がとれない。そんなときは、無理に進めず、そこで立ち止まって確かめるのがおすすめです。

全体を一緒に見てくれる味方を、最初につける

自分で進めるにしても、誰かに任せるにしても、私が大切だと思っているのは同じことです。

専門の方には、それぞれの良さがある

相続には、法律、登記、税金、不動産の値段といった分野があり、それぞれに専門の方がいます。弁護士、司法書士、税理士、不動産会社。どの方も、自分の担当の分野ではとても頼りになりますし、それぞれに守るべき立場や担当範囲があります。

ネットの情報も、専門の方も、それぞれに良さがあります。その良さを生かすためにも、まず「自分の家の全体」を一緒に見てくれる味方を最初につけておくと安心です。誰に相談するか迷う方は「相続は誰に相談する?」も参考にしてください。

士業会では、まず私がお話を伺います

士業会は、違う専門を持つ仲間が、ワンチームで一人の相談者の問題を一緒に考える団体です。士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認しながら、何から始めるかを一緒に整理します。

「基本は自分で進めたい。でも、最初に全体だけ確かめたい」というご相談も大歓迎です。相談は依頼ではありませんので、確かめたうえで自分で進めていただいてかまいません。士業会については「士業プロフェッショナル最強チーム、士業会とは?」でご紹介しています。

よくある質問

相続手続きは、全部自分でできますか?

内容によっては、自分で進められる手続きもあります。ただ、相続人の数、借金の有無、不動産があるかどうか、家族の考えなどで難しさが変わります。手を動かす前に、自分の家の全体を一度確かめておくと安心です。

ネットの情報は信用してもいいですか?

国や役所の案内など、役に立つ情報はたくさんあります。ただ、多くの人に向けた一般的な説明なので、自分の家の事情に当てはまるかは別に確かめる必要があります。書かれた時期が古くないかも見ておきましょう。

相続登記は自分でできますか?

法務局の案内を見ながら自分で手続きをする方もいます。ただ、誰の名義にするかを家族で決めておく必要があり、古い名義が残っている場合などは難しくなることがあります。相続登記は2024年4月から義務で、取得を知ってから原則3年以内です。

相続税の申告は必要ですか?

財産の額や家族の状況によって、申告が必要かどうかが変わります。必要な場合、期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。必要かどうかは、税金の専門の先生に確かめていただくのが安心です。

途中まで自分で進めてしまいました。今から相談してもいいですか?

もちろん大丈夫です。途中まで進めてくださった書類やメモは、整理するときにとても役に立ちます。今どこまで進んでいるかを一緒に確かめて、次に何をするかを考えましょう。

相談したら、手続きを頼まないといけませんか?

いいえ。相談は依頼ではありません。全体を確かめたうえで、自分で進めるところは自分で進めていただいてかまいません。あなたに合った進め方を一緒に考えます。

まとめ

相続手続きをネットで調べて自分で進めることは、ダメではありません。ネットには役に立つ情報がたくさんありますし、自分で進められる手続きもあります。

ただ、私なら、手を動かす前に一度だけ、自分の家の全体を誰かと一緒に確かめます。ネットの情報は一般的な話なので、自分の家に当てはまるかどうかを確かめてから進めると安心です。とくに、相続放棄や相続税などの期限があるもの、そして実家などの不動産は、慎重に確かめていただきたいところです。

相続は、法律、登記、税金、不動産の値段、家族の気持ちが重なっています。一つの分野だけでなく、全体を一緒に見てくれる味方を最初につけておくと、自分で進める道も、ずっと歩きやすくなります。

違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。

一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一

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