結論:ダメではありません。兄弟みんなで同じように受け継ぐ共有は、公平で、その場はもめにくい方法です。ただ、私なら、家賃が入るアパートを共有にする前に、「家賃をどう分けるか」「修繕をだれがどう決めるか」「だれかがやめたくなったらどうするか」を兄弟で決めておきます。アパートは持っている間ずっと決めごとが続くので、あとから意見が分かれやすいからです。
【初回相談0円】相続不動産の無料相談で、一緒に整理できること
- アパートを共有にする・しない、それぞれで考えたいこと
- 家賃と修繕の費用を、兄弟でどう分けるか
- 持ち続ける・売る、を考えるための材料のそろえ方
代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。すでに共有になっている方も大丈夫です。
こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。「どうしてダメなのですか?」シリーズでは、相続でよくいただく疑問に、私の考えをそのままお話ししています。
今回の疑問は「相続したアパート、兄弟の共有で持ってはダメなのですか?」です。親がアパートを持っていて、毎月家賃が入ってくる。だれか一人が受け継ぐと不公平になりそうなので、兄弟みんなで分けて持とう。そう考えるご家族はたくさんいらっしゃいます。不動産の仕事に40年近く携わってきた私が、この考えをどう見ているかをお話しします。
兄弟の共有で持つこと自体は、悪いことではありません
はじめにお伝えしておきます。アパートを兄弟の共有で持つことは、まちがいではありません。
「みんな同じ」は、気持ちのうえで納得しやすい
親の大切な財産を、兄弟みんなが同じように受け継ぐ。だれか一人が多くもらうわけではないので、話し合いの場では「それなら」と納得しやすい方法です。相続の話し合いを早く落ち着かせたいときに、選ばれることが多いのもうなずけます。
家賃を分け合えるのも、たしかに魅力です
入居者がいて家賃が入っているアパートなら、共有にすることで兄弟それぞれが家賃を受け取れます。親が残してくれたものを、みんなで少しずつ受け取る。それを大切にしたいという気持ちは、よく分かります。
それでも、私が「先に決めておきたい」と思う理由
悪いことではない。そのうえで、私ならアパートを共有にする前に、兄弟で決めておきたいことがあります。理由は三つあります。
アパートは、持っている間ずっと「決めごと」が続きます
空き家や土地と違って、アパートには入居者がいます。空き部屋の募集、家賃の見直し、入居者からの困りごと、管理会社とのやりとり。持っている間、決めることが毎月のように出てきます。共有だと、そのたびに兄弟の考えを合わせる必要があります。
修繕のお金で、意見が分かれやすい
建物は年月とともに傷みます。外壁や屋根、給湯器など、まとまったお金がかかる修繕も出てきます。「家賃を上げるために直したい」兄と、「今は出せない」弟。こうした意見の違いは、私が現場で何度も見てきたことです。家賃が入っても修繕や借入れで手元にお金が残らないこともあり、その見方は家賃収入があっても赤字になる?修繕費と借入れを含めた見方でお話ししています。
だれかが「やめたい」と思ったときに困ります
兄弟の暮らしは、それぞれ変わっていきます。家を買う、子どもの学費がいる、といった事情で「自分の分をお金にしたい」と思う人が出てくることもあります。共有のアパートを売るには、兄弟みんなの同意が必要になるのが一般的で、話がまとまらないと動けなくなります。さらに年月がたつと、兄弟の家族へと持ち主が広がっていくこともあります。
共有で持つなら、決めておきたいこと
共有を選ぶなら、その前に兄弟で話し合っておくと安心なことを表にまとめました。
| 決めておきたいこと | 話し合いの例 | なぜ大切か |
|---|---|---|
| 窓口になる人 | 管理会社とのやりとりは長男がする | 連絡先が一つだと、管理会社も入居者も困らないため |
| 家賃の分け方 | 修繕のための積み立てを先に取り、残りを分ける | 全部分けてしまうと、修繕のときにお金が足りなくなるため |
| 修繕の決め方 | 一定の額をこえる工事は、みんなで相談して決める | だれかが勝手に決めた、という不満を防ぐため |
| 帳簿と報告 | 家賃と費用を、年に一度は兄弟みんなで見る | お金の流れが見えると、疑いが生まれにくいため |
| やめたくなったとき | まず兄弟に買い取りを相談し、だめなら売ることも考える | あとから話がこじれないよう、出口を先に決めておくため |
話し合ったことは、書き残しておく
口約束だけだと、年月がたつうちに「そんな話だったかな」となりがちです。決めたことは、簡単なメモでも書き残し、兄弟みんなが持っておくと安心です。書き方や決め方に法律がからむ部分は、必要に応じて先生に確認します。
税金のことも、早めに確かめる
家賃を受け取ると、税金の申告が関わってきます。共有の場合は、それぞれが自分の分を考える必要が出てくることもあります。細かい扱いは税理士の先生に確認するのが安心です。
共有のほかにも、道はあります
共有か、一人が受け継ぐか。その二つだけでなく、ご家族に合う方法はいくつかあります。
一人が受け継ぎ、ほかの兄弟にはお金で調整する
アパートの管理に向いている人が受け継ぎ、ほかの兄弟にはお金などで調整する、という考え方もあります。公平さをどう保つかは家族ごとに違うので、兄弟でよく話し合うことが大切です。
売って、お金で分けるという考え方も
兄弟みんなが管理にかかわれない、建物の傷みが気になる、という場合は、売ってお金で分けることも一つの道です。持ち続けるか売るかを比べるときの数字は、相続した収益不動産は持ち続けるべき?売却と比較する数字にまとめています。
私なら、こう進めます
では、松本ならどうするか。一つの考え方としてお話しします。
まず、アパートの「今の姿」を兄弟みんなで知ります
私なら、共有にするかどうかを決める前に、家賃の入り方、空き部屋の数、これからかかりそうな修繕、借入れが残っているかを確かめ、兄弟みんなで同じ資料を見ます。同じ情報を持つだけで、話し合いはずいぶん落ち着きます。最初に確かめたい契約と収支は、賃貸アパートを相続したら、最初に確認したい契約と収支でもお話ししています。
共有にするなら、「出口」まで決めてからにします
そのうえで共有を選ぶなら、家賃の分け方と修繕の決め方、そしてやめたくなったときのことまで話し合ってから決めます。始め方より、終わり方を先に決めておく。それが、兄弟の仲を守る一番の方法だと私は考えています。
士業会では、こんなふうにお手伝いします
士業会は、違う専門の仲間がワンチームになって、一人の相談者の問題を一緒に考える団体です。
まず代表の私、松本がお話を伺います
士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認します。アパートの状態や持ち続けたときの見通しは私の長年の経験から、名義のことは司法書士の先生、家賃や売るときの税金は税理士の先生に確かめながら、一緒に整理していきます。
兄弟のだれかの側にかたよりません
私たちは、持ち続けることも、売ることも前提にしません。兄弟みんなが納得できる形を、一緒に考えます。相談は依頼ではありませんので、まずは気軽にお話しください。
よくある質問
すでに兄弟の共有になっています。今からでも決めごとはできますか?
できます。家賃の分け方や修繕の決め方は、今からでも兄弟で話し合って決められます。まずはアパートの今の状態を一緒に確かめるところから始めましょう。
管理会社には、だれが連絡すればいいですか?
兄弟の中で窓口を一人に決めておくと、管理会社も動きやすくなります。決めたことは、ほかの兄弟にも共有しておきましょう。
兄弟の一人が修繕のお金を出してくれません。
出せない事情があるのかもしれません。修繕の必要性と費用、直さなかったときの影響を、兄弟みんなで同じ資料を見ながら話すと、話が進みやすくなります。
共有のアパートの自分の分だけ売ることはできますか?
できる場合もありますが、ほかの兄弟との関係や、買ってくれる人がいるかなど、気をつけたい点があります。まずは兄弟に相談することをおすすめします。くわしくは先生に確認しながら考えます。
アパートに借入れが残っています。共有にしても大丈夫ですか?
借入れがある場合は、返済をだれがどう受け持つかも大切な決めごとになります。金融機関との関係もあるので、共有にする前に一緒に整理しましょう。
兄弟が遠くに住んでいても相談できますか?
はい、大丈夫です。まずはお一人からのご相談でもかまいません。
まとめ
相続したアパートを兄弟の共有で持つのは、ダメなことではありません。公平で、話し合いを落ち着かせやすい方法です。
ただ、アパートは持っている間ずっと決めごとが続き、修繕のお金や「やめたい」と思ったときに意見が分かれやすいものです。だから私なら、共有にする前に、家賃の分け方、修繕の決め方、やめたくなったときのことまで兄弟で決めておきます。
「共有にするか迷っている」「共有にしたけれど、このままでいいのか分からない」という段階でも大丈夫です。まずはお話をお聞かせください。
違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。
一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一
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