結論:ダメではありません。親が自分の言葉で遺言書(ゆいごんしょ:亡くなったあと財産をどう分けてほしいかを書き残すもの)を書くことは、家族への大切な贈り物です。ただ、私なら、書くだけで終わりにはしません。遺言書には書き方の決まりがあり、実家のように分けにくい財産は、書き方しだいで家族が困ることもあるからです。書く前に実家の中身と家族の思いを確かめ、書き方は先生に確認します。
【初回相談0円】相続不動産の無料相談で、一緒に整理できること
- 遺言書を書く前に、実家について確かめておきたいこと
- 分けにくい実家を、どう考えて書くか
- 家族に思いを伝えておく方法
代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。親御さんご本人のご相談も、お子さんからのご相談も大丈夫です。
こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。「どうしてダメなのですか?」シリーズでは、相続でよくいただく疑問に、私の考えをそのままお話ししています。
今回の疑問は「遺言書は、親が自分で書くだけではダメなのですか?」です。「遺言書を書いておけば、子どもたちがもめずにすむ」。そう考えて、自分で遺言書を書こうとする方が増えています。お子さんから「親に遺言書を書いてもらえば安心ですよね」と聞かれることもあります。不動産の仕事に40年近く携わってきた私が、この疑問にどう答えるかをお話しします。
自分で遺言書を書くことは、とても良いことです
はじめにお伝えしておきます。親が自分で遺言書を書くことは、ダメなことではありません。
家族への思いを、自分の言葉で残せます
遺言書は、財産の分け方だけでなく、「なぜそう決めたのか」という親の思いを家族に伝えるものでもあります。自分の言葉で書き残すことには、ほかでは代えられない意味があります。
家族の話し合いの手がかりになります
何も残されていないと、家族は「親はどうしてほしかったのか」を手探りで考えることになります。遺言書があれば、それが話し合いの手がかりになります。書こうと思ったこと自体が、家族への思いやりです。
それでも私が「書くだけ」をすすめない理由
遺言書を書くことは大切です。そのうえで、私なら書くだけで終わりにはしません。理由は三つあります。
書き方には、決まりがあります
遺言書には、書き方や残し方の決まりがあります。決まりに合っていないと、せっかく書いた思いが形にならないこともあります。自分で書く方法のほかに、公正証書(こうせいしょうしょ:公証役場で作る書類)で残す方法などもあるので、どの方法が合うかは、司法書士や弁護士などの先生に確認するのが安心です。
実家は、分けにくい財産です
預金なら金額で分けられますが、実家は一つしかありません。「実家は長男に」と書いたとき、ほかの兄弟との釣り合いをどう考えるのか。「兄弟で仲良く分けるように」と書いたとき、実家をどう分けるのか。不動産は、書き方しだいで家族が困ることがある財産です。
家族が知らないまま見つかると、驚きが大きくなります
遺言書の中身を家族がまったく知らないまま、親が亡くなってから初めて見ることになると、「どうしてこう決めたのか」が分からず、気持ちがすれ違うこともあります。遺言書が見つかったときに家族が確かめることは、公正証書遺言と自筆の遺言書|見つかったら家族がまず確認することにまとめています。
遺言書を書く前に、確かめておきたいこと
私が相談を受けたときに、遺言書を書く前に一緒に確かめることを表にまとめました。書き方の細かいことは、必要に応じて先生に確認します。
| 確かめたいこと | どうやって確かめるか | なぜ大切か |
|---|---|---|
| 実家や土地の名義 | 権利証や固定資産税の通知を見る | 自分の名義でないものは、思いどおりに書けないことがあるため |
| 実家のおおよその値段 | 不動産の目で、売るならどれくらいかを見る | 兄弟の釣り合いを考える材料になるため |
| だれが実家に住むか・管理するか | 子どもたちの暮らしや考えを聞く | 受け継いだ人が困らないようにするため |
| 預金などほかの財産 | 通帳や保険の書類をまとめておく | 実家と合わせて全体で考えるため |
| 書き方と残し方 | 司法書士や弁護士などの先生に確認する | 決まりに合った形で思いを残すため |
実家の「値段」を知っておく
実家を一人に任せるなら、ほかの兄弟にはどうするか。それを考えるには、実家のおおよその値段を知っておくことが欠かせません。ここは私の長年の経験が役に立つところです。
税金のことも、念のため確かめる
分け方によっては、税金のかかり方が変わることもあります。気になるときは、税理士の先生に確認しながら考えます。
家族に、どう思いを伝えておくか
遺言書の中身をどこまで家族に話すかは、親が決めることです。ただ、思いだけでも伝えておくと、家族の受け止め方が大きく変わります。
「なぜそう決めたか」を言葉で残す
「長男は近くに住んで面倒を見てくれたから」「次女には別の形で手助けをしたから」。理由が分かれば、たとえ分け方に差があっても、家族は納得しやすくなります。遺言書の中に気持ちを書き添えたり、家族に直接話したりする方法があります。
子どもからは、責める形で聞かない
お子さんの立場から親に遺言書の話を切り出すときは、「どう分けるの?」ではなく、「お父さんの考えを聞いておきたい」と伝えるのがおすすめです。遺言の内容に納得できないときの考え方は、遺言の内容に納得できないとき、家族だけで結論を急がないためにでお話ししています。
私なら、こう進めます
では、松本ならどうするか。一つの考え方としてお話しします。
書く前に、実家の「この先」を一緒に考えます
私なら、遺言書を書く前に、実家をこの先どうしたいかを親御さんと一緒に考えます。だれかが住むのか、売ってお金で分けるのか、しばらく残すのか。実家の行き先がはっきりすると、遺言書に何を書けばよいかも見えてきます。
書き方は先生に確認し、思いは家族に伝えます
決まりに合った書き方や残し方は先生に確認し、実家の値段や管理のことは私が見ます。そして、できれば親御さんの思いを家族にも伝えておく。遺言書を「書いて終わり」ではなく、「家族が困らないところまで」整えることが、私の考える遺言書の準備です。
よくある質問
遺言書は、自分で書いても有効ですか?
自分で書く方法もありますが、書き方や残し方に決まりがあります。決まりに合っているかどうかは、先生に確認しながら進めましょう。
実家を一人の子どもに任せたいとき、どう書けばいいですか?
ほかの兄弟との釣り合いや、受け継いだ人の負担も考えておきたいところです。実家の値段を確かめ、書き方は先生に確認しながら考えます。
遺言書の中身は、家族に話したほうがいいですか?
どこまで話すかは親御さんが決めることです。ただ、「なぜそう決めたか」という思いだけでも伝えておくと、家族が受け止めやすくなります。
子どもから親に、遺言書を書いてと頼んでもいいですか?
頼むこと自体はまちがいではありません。「どう分けるの?」ではなく「考えを聞いておきたい」と伝えると、話しやすくなります。
一度書いた遺言書を、書き直すことはできますか?
書き直すこともできます。ただ、手順には決まりがあるので、先生に確認しながら進めるのが安心です。
遺言書のことも、士業会で相談できますか?
はい、大丈夫です。まず私がお話を伺い、書き方や手続きのことは必要に応じて先生に確認しながら進めます。相談は依頼ではありません。
まとめ
親が自分で遺言書を書くことは、ダメなことではありません。家族への思いを自分の言葉で残せる、大切な準備です。
ただ、遺言書には書き方の決まりがあり、実家のように分けにくい財産は、書き方しだいで家族が困ることもあります。だから私なら、書く前に実家の名義や値段、家族の暮らしを確かめ、書き方は先生に確認し、思いは家族に伝えておきます。
「遺言書を書こうか迷っている」という段階でも大丈夫です。まずはお話をお聞かせください。
違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。
一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一
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