結論:ダメなことはありません。遺産分割は、相続人どうしが話し合って決めるのが本来の形で、兄弟だけでまとまるならそれがいちばんです。ただ、私なら、話し合いを始める前に、全体を一緒に見てくれる味方を最初につけます。実家のように分けにくい財産があると、法律・税金・家の値段・気持ちが重なって、兄弟だけでは整理しきれないことがあるからです。
【初回相談0円】相続不動産の無料相談で、一緒に整理できること
- 兄弟で話し合う前に、財産と相続人を一覧にして整理すること
- 実家を「住む・売る・貸す」それぞれで、分け方がどう変わるかを考えること
- 話し合いがこじれそうなとき、どんな進め方があるかを確かめること
代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。準備がそろっていなくても大丈夫です。
こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。「どうしてダメなのですか?」シリーズでは、相続のことで多くの方が心の中で思っている素朴な疑問に、私なりにお答えしています。
今回の疑問は「遺産分割、兄弟だけで話し合って決めてはダメなのですか?」です。親が亡くなったあと、「家族のことだから、兄弟だけで話し合って決めたい」と思うのは、とても自然な気持ちです。他人に家の中のことを話すのは気が進まない、という方も多いでしょう。不動産の仕事に40年近く携わってきて、たくさんのご家族を見てきた私が感じていることを、やさしい言葉でお話しします。
兄弟だけで話し合うのは、本来の形です
まず、はっきりお伝えしたいことがあります。兄弟だけで話し合って遺産分割を決めるのは、まったくダメなことではありません。
遺産分割は、相続人全員の合意で決まります
遺産分割(いさんぶんかつ)とは、亡くなった方の財産を、だれがどれだけ受け継ぐかを決めることです。遺産分割は、相続人全員が合意すれば成り立ちます。つまり、兄弟が全員で話し合い、全員が「これでいい」と納得すれば、それで決めることができるのです。
大切なのは「全員」という点です。兄弟のうち一人でも話し合いに入っていなかったり、納得していなかったりすると、遺産分割はまとまりません。
家族の事情をいちばん知っているのは家族です
親の介護をだれがしてきたか、実家にどんな思い出があるか、それぞれの暮らしがどうなっているか。こうした事情をいちばんよく知っているのは、家族自身です。だから、家族で話し合って決めることには、大きな意味があります。
話し合いがまとまったら、書面に残します
話し合いがまとまったら、その内容を遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ:話し合いの結果を書いた書類)にまとめるのが一般的です。実家の名義を変えたり、預金を受け取ったりするときに使います。口で約束しただけにせず、書面に残しておくことが大切です。
兄弟だけの話し合いが難しくなりやすい理由
兄弟だけで話し合うのは本来の形です。ただ、実際には、話し合いが思ったように進まないこともよくあります。それは兄弟の仲が悪いからではなく、相続ならではの事情があるからです。
実家は、きれいに分けられない
預金なら、金額を人数で分けることができます。でも、実家は一つしかありません。「長男が住み続けたい」「次男はお金で受け取りたい」となったとき、どう分ければ公平なのか、兄弟だけでは答えを出しにくいのです。
家の値段の考え方が、人によって違う
実家を受け継ぐ人が、ほかの兄弟にお金を払って調整する場合、実家をいくらと考えるかで金額が大きく変わります。受け継ぐ側は低めに、お金を受け取る側は高めに考えたくなるのは、人として自然なことです。ここで話がこじれることが少なくありません。
昔からの気持ちが出てきやすい
「自分ばかり親の面倒を見てきた」「兄だけ学費を出してもらった」。相続の話し合いでは、何十年も前の気持ちが出てくることがあります。家族だからこそ、言いにくいことや、言いすぎてしまうことがあるのです。話し合いが進まない原因については、兄弟で相続不動産の話し合いが進まない原因は?でもくわしくお話ししています。
相続の話し合いには、いくつもの分野が重なっています
兄弟だけで話し合うと難しくなるもう一つの理由は、相続の悩みにはいくつもの分野が重なっていることです。
法律・登記・税金・家の値段・気持ち
だれが相続人になるのかは法律の話です。実家の名義を変えるのは登記の話です。相続税がかかるかどうか、実家を売ったときに税金がかかるかどうかは税金の話です。実家がいくらくらいになるかは不動産の値段の話です。そして、それぞれがどう感じるかは家族の気持ちの話です。
これらは別々に見えて、じつはつながっています。たとえば、だれが実家を受け継ぐかによって、使える税金の特例が変わることがあります。一つだけを見て決めると、あとで別の分野の事情が出てきて、やり直しになることもあります。
重なりを表にすると、こうなります
| 分野 | 話し合いで出てくる疑問の例 | 兄弟だけだと難しくなりやすい点 |
|---|---|---|
| 法律 | 相続人はだれか、全員そろっているか | 連絡のとりにくい相続人がいると進められない |
| 登記 | 実家の名義をだれに変えるか | 書類の準備や手続きの順番が分かりにくい |
| 税金 | 相続税はかかるか、売ったら税金はかかるか | 分け方で税金が変わることに気づきにくい |
| 不動産の値段 | 実家はいくらくらいと考えるか | 立場によって考える値段がずれやすい |
| 家族の気持ち | 住みたい人、売りたい人、決められない人 | 家族だからこそ言いにくい・言いすぎる |
だから「全体を見る味方」を最初につける
私が大切にしているのは、話し合いを始める前に、全体を一緒に見てくれる味方を最初につけることです。全体の地図があれば、兄弟は「何を話し合えばいいのか」がはっきりします。話し合いの中身は兄弟で決める。そのための準備と整理を、味方が手伝う。そんな形をおすすめしています。
それぞれの相談先には、良さと役目があります
遺産分割のことで相談できる先はいくつもあります。どこが良い・悪いではなく、それぞれに良さがあり、守るべき立場や担当する範囲があります。
専門家には、それぞれ担当する範囲があります
たとえば、弁護士の先生は、もめごとになったときに法律の立場から依頼した人を守ってくれます。司法書士の先生は、実家の名義の変更をきちんと進めてくれます。税理士の先生は、税金の計算や申告を引き受けてくれます。不動産会社は、実家が実際にいくらくらいになりそうかを教えてくれます。どれも、それぞれの分野でとても頼りになる存在です。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停という方法もあります
兄弟の話し合いでどうしてもまとまらないときは、家庭裁判所の調停(ちょうてい)という方法もあります。調停は、家庭裁判所で、間に入る人を交えて話し合いを進める仕組みです。いきなり争うのではなく、話し合いでの解決をめざす場だと考えるとよいでしょう。
話し合いに第三者を入れることについては、相続の話し合いに第三者を入れるならでもくわしくお話ししています。
最初の入口は、全体を見られるところがいい
専門家に相談するのは良いことです。ただ、最初に一つの分野の専門家だけに相談すると、その分野の話から進むことになります。私なら、まず全体を一緒に見てくれるところに相談して、どの順番で、どの専門家に確認するかを決めます。そうすると、遠回りしにくくなります。
私なら、こんな順番で進めます
では、松本ならどうするか。一つの考え方としてお話しします。ご家庭によって事情は違いますので、目安として読んでください。
話し合いの前に、財産と相続人の一覧をつくる
まず、財産と相続人の一覧をつくります。実家、預金、ほかの土地、保険など、分かる範囲で書き出します。相続人がだれなのかも確かめます。この一覧を兄弟全員で同じものを見ることが、話し合いの土台になります。
実家の値段の「目安」を、同じ材料で共有する
次に、実家の値段の目安を、兄弟全員が同じ材料で知るようにします。一人だけが調べた金額だと、ほかの兄弟が納得しにくいからです。同じ材料を見ていれば、「高い」「安い」の言い合いになりにくくなります。
気持ちを聞く場と、決める場を分ける
そして、いきなり分け方を決めるのではなく、まずそれぞれの気持ちを聞く場を持ちます。「実家をどうしたいか」「何が心配か」。気持ちを聞いたうえで、別の日に分け方を考えます。気持ちを出しきってから決めると、話し合いが落ち着いて進みやすくなります。
士業会では、こんなふうにお手伝いします
士業会は、違う専門の仲間がワンチームになって、一人の相談者の問題を一緒に考える団体です。相続のように、いくつもの分野が重なる悩みのためにつくりました。
まず代表の私、松本がお話を伺います
士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認しながら、何から始めるかを一緒に整理します。兄弟のうちお一人からのご相談でもかまいません。「まだ兄弟には話していない」という段階でも大丈夫です。
話し合いの主役は、あくまでご家族です
士業会は、兄弟の話し合いの代わりに何かを決めるところではありません。話し合いの主役は、あくまでご家族です。私たちは、そのための材料をそろえ、順番を整え、全体が見えるようにお手伝いします。相談は依頼ではありませんので、話を聞いてから考えていただいて大丈夫です。費用がかかる手続きが必要な場合は、状況によって変わりますので、事前にきちんとお伝えします。
よくある質問
兄弟だけで決めた遺産分割は、正式なものになりますか?
相続人全員が合意すれば、遺産分割は成り立ちます。ただ、名義の変更などの手続きでは、話し合いの結果を書いた遺産分割協議書が求められることが一般的です。書面に残しておくと安心です。
兄弟の一人が話し合いに来てくれません。どうすればいいですか?
遺産分割は相続人全員の合意が必要なので、一人でも欠けると決めることができません。まずは連絡の取り方や伝え方を一緒に考えましょう。どうしても話し合いにならない場合は、家庭裁判所の調停という方法もあります。
実家に住んでいる兄弟と、住んでいない兄弟で意見が分かれています。
よくあるご相談です。実家の値段の目安を同じ材料で共有し、「住み続ける場合」「売る場合」それぞれで、だれに何が残るかを見えるようにすると、話し合いが進みやすくなります。
兄弟の一人だけで相談に行ってもいいですか?
はい、大丈夫です。お一人からのご相談でも、全体を整理することはできます。ほかの兄弟にどう伝えるかも一緒に考えます。
遺産分割に期限はありますか?
遺産分割そのものの話し合いはすぐに終わらせなければならないものではありませんが、相続税の申告が必要な場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内という期限があります。税金がからむときは、早めに見通しを立てておくと安心です。
相談したら、すぐに弁護士の先生を入れることになりますか?
そうとは限りません。まずは代表の松本がお話を伺い、今の状況に何が必要かを一緒に整理します。どの先生に、いつ確認するのがよいかも、ご家族の事情にあわせて考えます。
まとめ
遺産分割を兄弟だけで話し合って決めるのは、ダメなことではありません。相続人全員が合意すれば遺産分割は成り立ちますし、家族の事情をいちばん知っている家族自身が決めることには大きな意味があります。
ただ、実家のように分けにくい財産があると、法律・登記・税金・不動産の値段・家族の気持ちが重なって、兄弟だけでは整理しきれないことがあります。だから私なら、話し合いを始める前に、全体を一緒に見てくれる味方を最初につけます。話し合いの主役は家族のまま、そのための地図と順番を一緒に整える。それが、兄弟の関係を大切にしながら相続を進める一つの方法だと考えています。
「兄弟にどう切り出せばいいか分からない」という段階でもかまいません。まずはお気持ちを聞かせてください。
違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。
一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一
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