結論:認知症の相続人がいるとき、実家の遺産分割を家族だけで進めたいと思うのはダメではありません。家族で支え合いたい気持ちは大切です。ただ、ご本人が話し合いの中身を分かったうえで決めることが難しい場合、家族だけで決めた内容が認められないことがあると言われます。私なら、その方の気持ちと暮らしをまず守ることを考え、家族だけで決めてよいかを先に先生に確かめてから、実家のことを話し合います。
【初回相談0円】相続不動産の無料相談で、一緒に整理できること
- 認知症の家族の暮らしを守りながら、実家をどうするか
- 話し合いの前に、先生に確かめておきたいこと
- 実家を売る・残す、それぞれの考え方
代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。「まだ何も決まっていない」という方も大丈夫です。
こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。「どうしてダメなのですか?」シリーズでは、相続でよくいただく疑問に、私の考えをそのままお話ししています。
今回の疑問は「認知症の相続人がいるとき、実家の遺産分割を家族だけで進めてはダメなのですか?」です。父が亡くなった。相続人は母と子どもたち。でも母は認知症で、施設で暮らしている。実家のことは子どもたちで話し合って決めて、母には書類に名前を書いてもらえばいい。そう考える方は少なくありません。認知症の相続人がいる相続は、実はとても多い相談です。不動産の仕事に40年近く携わってきた私が、この疑問にどう答えるかをお話しします。
認知症の相続人がいても、家族で考えるのは大切なことです
はじめにお伝えしておきます。家族みんなで実家のことを考えようとするのは、まちがいではありません。
家族がいちばん、その方の暮らしを知っています
認知症の母がどんな暮らしをしていて、何を大切にしてきたか。いちばんよく知っているのは家族です。家族で考えることは、その方の気持ちを守るうえでも大切です。
早く落ち着かせたい、という気持ちも自然です
父が亡くなり、母の介護もある。そのうえ実家のことまで長引くのはつらいものです。早く話をまとめて落ち着きたい、と思うのは当然のことです。
それでも、家族だけで決めないほうがいい理由
私が「先に先生に確かめましょう」とお話しするのは、認知症の相続人がいる遺産分割は、家族の気持ちだけでは進められないことがあるからです。
本人が分かったうえで決めることが、前提になります
遺産分割(いさんぶんかつ:亡くなった人の財産を、相続人で分け方を決めること)は、相続人みんなが中身を分かったうえで決めることが前提だと言われます。認知症の程度によっては、ご本人がそれを分かって決めるのが難しいこともあります。そのとき、家族が代わりに名前を書いて済ませると、あとで話し合いそのものが認められないことがあります。
実家を売るときに、手続きが止まることがあります
実家を売ろうとしたとき、相続人の一人の考えが確かめられないと、名義を整えることも、売る約束をすることも進まなくなることがあります。不動産の取引では、関わる人の考えをきちんと確かめることがとても大切にされているからです。
代わりの人を立てる方法が、出てくることもあります
ご本人の代わりに判断する人を立てる、成年後見(せいねんこうけん:判断が難しくなった人を支える人を、家庭裁判所が決める仕組み)などの方法が出てくることがあります。どの方法が合うか、どんな手間がかかるかは、ご家族の事情によって変わります。くわしくは先生に確かめましょう。
まず、相続人と実家の様子を書き出す
私が相談を受けたときに、ご家族と一緒に確かめることを表にまとめました。分かるところから書き出していきましょう。
| 確かめること | なぜ大切か | 確かめたあとにすること |
|---|---|---|
| 相続人はだれか | 話し合いに加わる人をはっきりさせるため | 家族の一覧を作る |
| 認知症の方の今の様子 | 家族だけで決めてよいかを考えるため | 主治医や施設の話も聞き、先生に確認する |
| 実家の名義と状態 | 売る・残すを考えるため | 登記簿や固定資産税の通知を集める |
| 実家以外の財産と借入れ | 財産の全体を知るため | 財産の一覧にまとめる |
| 認知症の方のこれからの暮らし | 住まいとお金の見通しを立てるため | 介護の費用や住まいを家族で話す |
財産の全体を、一枚にまとめます
実家だけでなく、預金や借入れも含めて、財産の全体を一枚にまとめておくと、先生に確かめるときにも話が早く進みます。財産目録の作り方は遺産分割の話し合い、財産目録を作らずに始めてはダメなのですか?でもお話ししています。
本人の暮らしのお金を、先に考えます
認知症の母がこれから施設で暮らすなら、その費用をどうまかなうかが大切です。実家を売るか残すかも、その方の暮らしを守れるかどうかから考えると、家族の話がまとまりやすくなります。
認知症の相続人の気持ちを、置き去りにしない
手続きのことばかり考えていると、いちばん大切な、ご本人の気持ちが置き去りになりがちです。
分かる範囲で、本人の思いを聞いておきます
認知症があっても、「あの家が好きだった」「庭の木を大事にしてほしい」といった思いを話せることがあります。分かる範囲で聞いて、家族で書き留めておきましょう。親が元気なうちに聞いておく大切さは親が認知症になってから、実家のことを考えてはダメなのですか?でお話ししています。
家族のだれかに、かたよらないようにします
介護をしている子と、遠くに住む子では、見えているものがちがいます。どちらの気持ちも大切にしながら、認知症の方にとって何がいちばんいいかを、家族みんなで考えることが大切です。
私なら、こう進めます
では、松本ならどうするか。一つの考え方としてお話しします。
まず、先生に「家族だけで決めてよいか」を確かめます
私なら、話し合いを始める前に、認知症の方の今の様子を伝えて、家族だけで決めてよいか、ほかの方法が要るかを司法書士の先生や弁護士の先生に確かめます。ここを先に確かめておくと、あとでやり直しになることを防げます。
実家を急いで売る前提にしません
認知症の方が実家に戻りたいと思っているかもしれません。施設の費用のために売る必要があるかもしれません。どちらの場合も考えて、急いで決めずに、暮らしとお金の見通しを立てます。
決めたことは、書いて残します
家族で話したこと、先生に確かめたことは、紙に書いて家族みんなで持っておきます。税金のことが気になれば、税理士の先生にも確認します。
士業会では、こんなふうにお手伝いします
士業会は、違う専門の仲間がワンチームになって、一人の相談者の問題を一緒に考える団体です。
まず代表の私、松本がお話を伺います
士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認します。実家の値打ちや売る・残すの考え方は私の長年の経験から、話し合いの進め方や名義のことは先生方に確かめながら、一緒に整理していきます。
ご本人の暮らしを、いちばんに考えます
私たちは、実家を売ることを前提にしません。認知症の方の暮らしとご家族の気持ちを大切にしながら、いちばん良い道を一緒に考えます。「何から手をつければいいか分からない」という段階でも、気軽にお話しください。
よくある質問
認知症の母に、書類に名前だけ書いてもらってもいいですか?
ご本人が中身を分かって決めることが難しい場合、話し合いが認められないことがあると言われます。書いてもらう前に、先生に確かめましょう。
認知症の程度が軽ければ、家族だけで進められますか?
ご本人の様子によって考え方が変わると言われます。主治医の話も聞きながら、先生に確かめてから進めると安心です。
成年後見を使わないといけないのですか?
どの方法が合うかは、ご家族の事情によって変わります。ほかの方法も含めて、先生に確かめましょう。
実家を売って、母の施設の費用にあてたいです。
その考え方もあります。ただ、売る手続きには相続人みんなの考えを確かめることが要るので、先に進め方を先生に確認しておきましょう。
兄弟で考えがちがいます。どうすればいいですか?
認知症の方にとって何がいちばんいいか、という同じものさしで話すと、まとまりやすくなります。資料をそろえて、同じものを見て話しましょう。
介護で忙しく、相談に行く時間がありません。
お電話やフォームからのご相談も受け付けています。まずはお話をお聞かせください。
まとめ
認知症の相続人がいるとき、実家の遺産分割を家族で進めたいと思うのはダメではありません。家族がいちばん、その方の暮らしを知っています。
ただ、ご本人が中身を分かったうえで決めることが難しい場合、家族だけで決めた内容が認められないことがあると言われます。だから私なら、その方の気持ちと暮らしをまず守ることを考え、家族だけで決めてよいかを先に先生に確かめてから、実家の売る・残すを落ち着いて話し合います。
「母のことも実家のことも、何から考えればいいか分からない」という段階でも大丈夫です。まずはお話をお聞かせください。
違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。
一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一
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