結論:ダメなことはありません。税務署では、相続税の決まりについて一般的な質問ができ、正しい情報を教えてもらえます。ただ、私なら、税務署に聞く前か同じころに、実家をどうするか・家族でどう分けるかまで一緒に見てくれる味方を最初につけます。相続税の金額は、家の値段や分け方で変わることがあるからです。
【初回相談0円】相続不動産の無料相談で、一緒に整理できること
- 相続税がかかりそうか、まず全体の目安をつかむこと
- 税務署に何を聞けばよいか、質問を前もって整理すること
- 実家を残すか売るかで、税金や手続きがどう変わるかを考えること
代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。準備がそろっていなくても大丈夫です。
こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。このコラムは「どうしてダメなのですか?」というシリーズです。相続のことで、みなさんが心の中で思っている素朴な疑問に、私なりにお答えしていきます。
今回の疑問は「相続税のことは、税務署に聞くだけではダメなのですか?」です。親が亡くなって、相続税がかかるのかどうか心配になったとき、「税金のことなら税務署に聞けばいい」と考えるのは、とても自然なことです。私もその考えを悪いとはまったく思いません。そのうえで、不動産の仕事に40年近く携わってきて感じていることを、やさしい言葉でお話しします。
税務署に相談するのは、とても良いことです
まずお伝えしたいのは、税務署に相談するのは良いことだ、ということです。税金の決まりを作って動かしている側の窓口ですから、決まりそのものについてはいちばん確かな情報が得られます。
税務署では相続税の一般的な質問ができます
税務署では、相続税についての一般的な質問ができます。たとえば「相続税の申告はいつまでにすればいいのか」「どんな書類が必要なのか」「この財産は相続税の対象になるのか」といった質問です。電話での相談の窓口もあり、決まりを分かりやすく説明してもらえます。
インターネットには相続税の情報がたくさんありますが、古い情報や、人によって当てはまらない情報もまじっています。迷ったときに公の窓口で確かめられるのは、とても心強いことです。
税務署の方には「公平に決まりを伝える」という立場があります
税務署の方は、だれに対しても同じように、公平に決まりを伝えるのが役目です。ここが大切なところで、税務署の方は「あなたの家族にとって、どの分け方がいちばん良いか」を一緒に考える立場ではありません。それは冷たいのではなく、守るべき立場があるからです。
ですから、税務署で聞けることと、別のところで考えたほうがよいことを分けておくと、税務署での相談もずっと実りのあるものになります。
相続税の基本を、やさしく確認しておきましょう
税務署に聞く前に、相続税のいちばん基本のところだけ知っておくと、質問がしやすくなります。ここでは確かな決まりだけをお話しします。
相続税がかかるかどうかの目安「基礎控除」
相続税には「基礎控除(きそこうじょ)」という決まりがあります。かんたんに言うと、「この金額までなら相続税はかかりません」という線のことです。その線は次の計算で決まります。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは、法律で決められた、財産を受け継ぐ人のことです。たとえば、亡くなった方に子どもが2人いて、配偶者(夫や妻)がすでに亡くなっている場合、法定相続人は2人です。この場合の線は、3,000万円+600万円×2人=4,200万円になります。財産の合計がこの線より少なければ、相続税はかかりません。
実家を相続したときの相続税については、実家を相続したら相続税は必ずかかる?でもくわしくお話ししています。
申告の期限は「10か月以内」
相続税がかかる場合は、申告(しんこく:税務署に届け出ること)が必要です。その期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
10か月と聞くと長く感じるかもしれません。でも実際は、葬儀や法要、役所の手続き、家族との話し合いをしているうちに、あっという間に過ぎてしまうことが多いのです。
税金がゼロでも申告が必要なことがあります
相続税には、条件にあえば税金を軽くできる特例(とくれい:特別な決まり)があります。特例によっては、使った結果として税金がゼロになる場合でも、申告をしなければ使えないものがあります。「うちは税金がかからないだろう」と思っていても、実は申告が必要だった、ということもありえます。こうした点こそ、税務署で確かめる値打ちがあるところです。
税務署に聞くだけだと、整理しきれないことがあります
ここからが今回の本題です。税務署で決まりを教えてもらうのは良いことです。ただ、相続の悩みは税金だけでできているわけではありません。
相続税の金額は「家の値段」と「分け方」で変わります
相続税を計算するには、まず財産がいくらあるのかを決める必要があります。預金なら金額がはっきりしていますが、実家のような不動産は、その評価(ひょうか:税金を計算するときの値段の決め方)によって財産の合計が変わります。
さらに、だれがどの財産を受け継ぐかによって、使える特例が変わることもあります。つまり、「家をどうするか」「家族でどう分けるか」が決まらないと、税金の話も最後まで決められないことが多いのです。
税務署は「家をどうするか」までは担当していません
税務署の方は税金の決まりを説明してくださいますが、「実家を売ったほうがいいか、残したほうがいいか」「売るならいくらくらいになりそうか」「兄弟でどう話し合えばいいか」までは、担当の範囲ではありません。これは税務署が悪いのではなく、もともとの役目が違うからです。
相続した家を売ったときの税金は、相続税とはまた別の話になります。くわしくは相続した家を売ると税金はいくら?もあわせてお読みください。
家族の気持ちは、計算では決まりません
「長男が実家に住みたい」「次男はお金で受け取りたい」「母の暮らしも守りたい」。こうした家族の気持ちは、税金の計算表には出てきません。でも、相続の話がまとまるかどうかは、じつはこの気持ちの部分で決まることがとても多いのです。
それぞれの相談先の良さと、担当する範囲
相続のことで相談できる先はいくつもあります。どこが良い・悪いではなく、それぞれに良さがあり、担当する範囲があります。表にまとめてみました。
| 相談先 | 良いところ | 担当する範囲のめやす |
|---|---|---|
| 税務署 | 税金の決まりについて、公の窓口として確かな説明がもらえる | 相続税の決まり・申告の方法などの一般的な質問 |
| 税理士 | その家の財産にあわせて、税金の計算や申告を引き受けてくれる | 相続税の計算・申告、節税の考え方 |
| 司法書士 | 不動産の名義の変更(登記)をきちんと進めてくれる | 相続登記などの手続き |
| 弁護士 | もめごとになったとき、法律の立場から守ってくれる | 相続人どうしの争い、法律の判断 |
| 不動産会社 | 家や土地が実際にいくらくらいで売れそうか教えてくれる | 査定・売却・活用の相談 |
| 士業会 | 最初の入口として、全体をいっしょに整理できる | 何から始めるかの整理、違う専門の仲間とワンチームで考える |
一つの分野だけを見ると、順番を間違えやすくなります
表を見ると分かるように、どの相談先も、それぞれの分野ではとても頼りになります。ただ、相続の悩みは、法律・登記・税金・不動産の値段・家族の気持ちが重なっています。一つの分野だけを先に進めると、あとで別の分野の事情が出てきて、やり直しになることがあります。
だから「全体を見る味方」を最初につける
私が大切にしているのは、最初に全体を一緒に見てくれる味方をつけることです。全体の地図ができてから、それぞれの専門家に確認すれば、相談する人も迷いにくくなります。税務署に聞きに行くときも、「何を聞けばいいか」がはっきりしていれば、短い時間で必要な答えを持ち帰れます。
私なら、こんな順番で進めます
では、松本ならどうするか。あくまで一つの考え方として、私がおすすめしている順番をお話しします。ご家庭の事情によって順番は変わりますので、目安として読んでください。
まず財産と家族の状況を書き出す
最初にやるのは、財産と家族の状況を紙に書き出すことです。実家の住所、預金のおおよその額、ほかの土地や保険、そして相続人がだれなのか。正確でなくてかまいません。書き出すだけで、「相続税がかかりそうかどうか」のぼんやりした目安が見えてきます。
実家をどうしたいか、家族の気持ちを聞く
次に、実家をどうしたいかについて、家族それぞれの気持ちを聞きます。住みたい人がいるのか、売ってお金を分けたいのか、まだ決められないのか。ここで無理に決める必要はありません。気持ちを知っておくだけで、税金の話がぐっと進めやすくなります。
そのうえで税務署や専門家に確かめる
全体が見えてきたら、税務署に一般的な決まりを確かめたり、税理士の先生に計算をお願いしたりします。順番を整えておけば、税務署での相談も「この特例は、うちの場合も申告が必要ですか」のように、具体的で分かりやすい質問になります。
士業会では、こんなふうにお話を伺います
士業会は、違う専門の仲間がワンチームになって、一人の相談者の問題を一緒に考える団体です。相続のように、いくつもの分野が重なる悩みのために立ち上げました。士業会の考え方は士業プロフェッショナル最強チーム、士業会とは?でも紹介しています。
まず代表の私、松本がお話を伺います
士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認しながら、何から始めるかを一緒に整理します。最初から難しい話をするのではなく、「今、何に困っているのか」「何が心配なのか」を、ゆっくりお聞きするところから始めます。
税務署に聞くことを、一緒に準備することもできます
「税務署には自分で聞きに行きたい」という方も、もちろん大歓迎です。その場合は、税務署で何を聞けばよいか、どんな書類を持っていけばよいかを一緒に整理します。税務署の相談と士業会の相談は、どちらか一つを選ぶものではなく、うまく組み合わせることができます。
相談は依頼ではありません
相談したからといって、何かを頼まなければいけないわけではありません。費用のかかる手続きが必要になる場合は、その前にきちんとお伝えします。費用は状況によって変わりますので、ご事情を伺ってからご説明します。
よくある質問
税務署に相続税の相談をするのにお金はかかりますか?
税務署での一般的な相談は、費用をとられるものではありません。相続税の決まりや申告の方法について、気軽に質問してみてください。
税務署は、相続税の申告書を代わりに書いてくれますか?
税務署は、書き方や決まりを説明してくれる窓口です。その家の財産にあわせて計算や申告を引き受けるのは、税理士の先生の仕事になります。どこまで自分でできそうかは、財産の内容によって変わります。
相続税がかかるかどうかは、どうやって分かりますか?
目安になるのは基礎控除です。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で出た金額より、財産の合計が少なければ相続税はかかりません。ただ、実家の評価の仕方で合計が変わるので、迷ったら一度ご相談ください。
申告の期限を過ぎてしまうと、どうなりますか?
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎると、本来の税金に加えて負担が増えることがあります。早めに全体の見通しを立てておくと安心です。
実家を売るかどうか決まっていなくても相談できますか?
はい、大丈夫です。決まっていないからこそ、一緒に整理する意味があります。残す場合と売る場合で何が変わるのかを、順番にお話しします。
士業会に相談したら、税務署には行かなくていいのですか?
どちらか一つを選ぶ必要はありません。税務署で決まりを確かめることは大切です。士業会では、税務署で聞くことの準備も含めて、全体を一緒に整理します。
まとめ
相続税のことを税務署に聞くのは、ダメなことではありません。税務署は、税金の決まりを公平に、正しく教えてくれる大切な窓口です。
ただ、相続税の金額は、実家の値段や家族の分け方によって変わることがあります。そして相続の悩みには、法律・登記・税金・不動産の値段・家族の気持ちが重なっています。だから私なら、税務署に聞くのと同じころに、全体を一緒に見てくれる味方を最初につけます。全体の地図があれば、税務署での相談も、専門家への相談も、ずっと進めやすくなるからです。
「何から始めればいいのか分からない」という段階でもかまいません。まずは今のお気持ちを聞かせてください。
違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。
一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一
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