結論:兄弟の遺産相続の話し合いが進まないときは、いくつもの話がひとかたまりになっていることがあります。私なら、話の中身を「事実」「決まりごと」「お金」「気持ち」の4つの箱に分けて、一度の話し合いでは一つの箱を中心に扱います。
「兄弟で何度集まっても、話が前に進まない。いつも同じところで言い合いになる」
相続した不動産をめぐる兄弟の話し合いで、こうしたことは珍しくありません。
話がまとまらないのは、話が混ざっているから
不動産の仕事に40年近く携わってきて、私が見てきた「進まない話し合い」には、共通点があります。
たとえば、こんな会話です。
「実家は3,000万円くらいだろう。兄さんは親に家を建ててもらったんだから、その分少なくていいはずだ。それに、介護をしたのは私なんだから」
この短い言葉の中に、実家の値段という事実、昔の援助をどう扱うかという決まりごと、分け方のお金、そして長年の気持ちが、すべて入っています。これでは、どこから話せばいいのか分からなくなってしまいます。
4つの箱に分けてみる
1. 事実の箱
相続人は誰か、どんな財産がいくつあるか、実家は実際にいくらくらいで売れるか。資料で確かめられることです。
2. 決まりごとの箱
法律で定められた分ける割合、昔の援助や介護を分け方にどう反映できるか、など。法律上の要件と、家族で合意して決めることを分け、専門家と確かめます。
3. お金の箱
税金はいくらかかるか、実家を受け取る人がほかの兄弟に払うお金を用意できるか、売ったらいくら手元に残るか。条件をそろえて計算することです。
4. 気持ちの箱
親との思い出、介護の苦労、昔からのわだかまり。調べても計算しても答えは出ない、でも大切なことです。
私なら、箱ごとに話し合います
- 1回の話し合いでは、一つの箱を中心に扱う
- 事実の箱から始めて、みんなで同じ情報を持つ
- 決まったこと、分かったことは、その場で紙に書き残す
- 気持ちの箱は、急いで結論を出そうとせず、まず聞く
事実がそろわないまま気持ちの話だけを進めると、ぶつかりやすくなります。逆に、事実とお金の見通しが分かると、落ち着いて話せることもあります。
箱を埋めるには、専門家の力が役に立ちます
事実の箱は不動産と司法書士、決まりごとの箱は弁護士、お金の箱は税理士など、それぞれの確認に専門家の力が役に立ちます。
もし私があなたの立場なら、それぞれの専門家が力を合わせてくれるチームを味方につけて、兄弟みんなが同じ情報を持てるようにしてから話し合います。家族ではない第三者がいることで、話し合いが落ち着くこともあります。
士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認しながら、ご家族にとって一番よい進め方を一緒に考えます。
よくある質問
Q. 兄弟の一人が、話し合いに出てきてくれません。
A. 遺産の分け方を決めるには、原則として相続人全員の合意が必要です。話し合いに応じてもらえない場合の進め方もあるので、早めに相談してください。
Q. 親の介護をしたことは、分け方に反映されますか?
A. 状況によって考え方が変わります。それは「決まりごとの箱」の話なので、専門家と一緒に確かめましょう。
まとめ
兄弟の話し合いが進まないときは、事実・決まりごと・お金・気持ちが混ざっていないか確かめます。4つの箱に分けて、一つずつ話し合ってみてください。
箱を埋めるところから、あなたの側に立つチームと一緒に始めましょう。
違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。
一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一
→ 話し合いの前にそろえたい情報は「相続不動産で家族の意見がまとまらないとき」のコラムもあわせてご覧ください。
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