空き家になった実家、ご近所に見てもらうだけではダメなのですか?

空き家になった実家、ご近所に見てもらうだけではダメなのですか?

結論:ダメではありません。ご近所の方が気にかけてくれるのは、空き家にとって何よりの見守りです。ただ、私なら、ご近所の好意に頼りきりにはしません。好意には限りがあり、何かあったときに「だれが決めるのか」があいまいになりやすいからです。家族の中で「だれが・何を・いつまで」見るかを決め、実家をこの先どうするかも一緒に考えます。

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  • 空き家の実家で、いま気をつけたいところ
  • ご近所・家族・頼める人の、役割の分け方
  • 実家を「この先どうするか」を考えはじめる順番

代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。まだ何も決めていない方も大丈夫です。

こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。「どうしてダメなのですか?」シリーズでは、相続でよくいただく疑問に、私の考えをそのままお話ししています。

今回の疑問は「空き家になった実家、ご近所に見てもらうだけではダメなのですか?」です。親が亡くなり、実家はだれも住まなくなった。自分たちは遠くに住んでいて、なかなか行けない。そんなとき、昔から親と仲のよかったお隣さんが「時々見ておくよ」と言ってくれる。とてもありがたいことですし、それで安心される方も多いと思います。不動産の仕事に40年近く携わってきた私が、この形をどう見ているかをお話しします。

ご近所に見てもらうこと自体は、とてもよいことです

はじめにお伝えしておきます。ご近所の方に様子を見てもらうのは、まちがいではありません。むしろ、空き家にとってはとても心強いことです。

毎日の「ちょっとした変化」に気づけるのは、ご近所だけです

雨戸が外れかけている、郵便受けにチラシがたまっている、知らない車が止まっている。こうした小さな変化に気づけるのは、すぐそばに住んでいる方だけです。遠くに住む家族が月に一度見に行くより、ずっと早く気づいてもらえることがあります。

親が大切にしてきたご縁を、つないでくれます

親が長年かけて築いてきたご近所づきあいは、それ自体が大切な財産です。親が亡くなったあとも気にかけてくれる方がいるのは、親の人柄があったからこそ。そのご縁を大切にしたいという気持ちは、よく分かります。

それでも、私が「それだけ」にはしない理由

よいことである。そのうえで、私ならご近所の好意だけに頼ることはしません。理由は三つあります。

好意には、どうしても限りがあります

ご近所の方にも、ご自分の暮らしがあります。最初は「気にしないで」と言ってくれても、年月がたてば体調や家の事情も変わります。草が伸びた、木の枝がとなりにかかった、といったことが重なると、「見ておくよ」が負担に変わってしまうこともあります。好意に甘えきりになると、せっかくのご縁にひびが入ることもあるのです。

何かあったとき、「だれが決めるか」があいまいになります

台風で屋根が傷んだ、水もれが見つかった。そんなとき、ご近所の方が見つけてくれても、直すかどうかを決めるのは家族です。兄弟のだれに連絡すればいいのか、だれが費用を出すのかが決まっていないと、知らせを受けても話が前に進みません。

「見てもらえている」安心が、決めることを先のばしにします

いちばん大きいのはここかもしれません。ご近所が見てくれているから大丈夫、と思うと、実家をこの先どうするかを考えるのが、つい後回しになります。その間も建物は少しずつ古くなり、税金や管理の負担は続きます。空き家を放っておいたときの負担は、実家の空き家を放置するとどうなる?管理の負担を整理でもお話ししています。

ご近所・家族・頼める人。役割を分けて考える

では、どうすればよいのでしょうか。私がおすすめしているのは、空き家の見守りを「だれが、何を受け持つか」に分けて考えることです。

受け持つ人 お願いしやすいこと 気をつけたいこと
ご近所の方 ふだんの様子で気づいたことを知らせてもらう 作業や判断まではお願いしない。連絡先をはっきり伝える
家族(窓口になる人) 連絡を受ける、兄弟に伝える、直すかどうかを話し合う 窓口を一人に決め、兄弟みんなが知っている状態にする
家族(見に行く人) 換気・通水・郵便物の整理・草むしりなど 行く回数や交通費の分け方を、先に話し合っておく
管理を頼める会社など 定期的な見回りや報告 何をどこまでしてくれるか、書面で確かめる
相談先 実家をこの先どうするかを一緒に考える 売ることを前提にせず、全体を聞いてくれる相手を選ぶ

ご近所には「気づいたら知らせてもらう」だけをお願いする

私なら、ご近所の方には「何か気づいたら、ここに電話をください」とだけお願いします。草むしりや片付けのような作業、直すかどうかの判断まではお願いしません。お願いすることをしぼった方が、相手の負担も少なく、長く気にかけてもらいやすくなります。

家族の窓口は、一人に決めておく

連絡を受けるのは長男、見に行くのは近くに住む妹、というように、役割を決めておくと動きやすくなります。管理をどこまで頼めるかは、空き家の管理は誰に頼める?頼める範囲と費用の考え方にもまとめています。

ご近所との関係を大切にするために

ご近所の好意は、大切にすればするほど長続きします。私が現場で見てきて、うまくいっているご家族に共通していることがあります。

行ったときには、ひと声かけてお礼を伝える

実家に行ったときに、お隣さんにひと声かけて「いつもありがとうございます」と伝える。それだけで、相手の気持ちはずいぶん違います。小さな手みやげを持っていくご家族もいます。

迷惑をかけそうなことは、先に手を打つ

伸びた庭木がとなりにかかる、落ち葉が側溝をふさぐ、といったことは、ご近所にとっては困りごとです。見てもらっている側だからこそ、迷惑につながりそうなことは家族が先に手を打つ。そうすることで、ご近所との関係も守れます。

私なら、こう進めます

では、松本ならどうするか。一つの考え方としてお話しします。

「見守り」と「この先どうするか」を、同時に始めます

私なら、ご近所へのお願いと家族の役割分担を決めたら、同じ時期に「実家をこの先どうするか」の話し合いも始めます。住む人はいるのか、貸すのか、売るのか。すぐに決めなくてもかまいません。でも、考えはじめる日だけは決めておきます。

「いつまで、この形で見るか」を決めておきます

たとえば「次のお盆までは今の形で見守り、そのときに家族で集まって考える」というように、区切りを決めておきます。区切りがあると、ご近所の方にも「いつまでお願いするか」を伝えられますし、家族も先のばしにしにくくなります。遠くに住んでいて管理がむずかしいときの決め方は、遠方の空き家を管理できないとき、家族で決めておきたいことでもお話ししています。

士業会では、こんなふうにお手伝いします

士業会は、違う専門の仲間がワンチームになって、一人の相談者の問題を一緒に考える団体です。

まず代表の私、松本がお話を伺います

士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認します。空き家の状態や、この先の使い方は私の長年の経験から、名義のことは司法書士の先生、税金のことは税理士の先生に確かめながら、一緒に整理していきます。

売ることを前提にはしません

私たちは、売ることを前提にお話を聞くわけではありません。住む・貸す・売る・しばらく持つ、のどれがご家族に合うかを一緒に考えます。相談は依頼ではありませんので、まずは気軽にお話しください。

よくある質問

お隣さんに鍵を預けてもいいですか?

信頼できる方でも、鍵を預けると相手に責任がかかってしまうことがあります。何かあったときに困らないよう、預けるかどうか、預けるなら何をお願いするのかを家族で話し合ってから決めると安心です。

ご近所にお礼のお金を渡した方がいいですか?

ご家族の考え方やご近所との関係によって違います。お金より、行ったときのひと声やちょっとした手みやげの方が気持ちが伝わることもあります。

ご近所から「草が伸びて困る」と言われました。

まずはお礼とおわびを伝え、いつまでにどうするかをお知らせしましょう。くり返しになりそうなら、家族で見に行く回数を増やすか、管理を頼める先を考える時期かもしれません。

空き家のまま、何年くらい持っていても大丈夫ですか?

建物の状態やご家族の事情によって変わります。年数で決めるより、「いつ家族で話し合うか」の区切りを決めておくことをおすすめします。

兄弟が「ご近所に見てもらっているから大丈夫」と言います。

その安心も大切です。そのうえで、何かあったときの連絡先と、実家をこの先どうするかを話し合う日だけは、決めておくよう提案してみてください。

名義が親のままの空き家でも相談できますか?

はい、大丈夫です。名義のことも含めて、まずはお話を伺い、必要に応じて先生に確認しながら整理します。

まとめ

空き家になった実家をご近所に見てもらうのは、ダメなことではありません。毎日の小さな変化に気づいてくれるご近所の目は、何よりの見守りです。

ただ、好意には限りがあり、何かあったときにだれが決めるかがあいまいになりやすいものです。だから私なら、ご近所には「気づいたら知らせてもらう」ことだけをお願いし、家族の役割と、実家をこの先どうするかを話し合う区切りを決めておきます。

「とりあえずご近所に頼んでいるけれど、このままでいいのか分からない」という段階でも大丈夫です。まずはお話をお聞かせください。

違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。

一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一

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