結論:ダメなことはありません。銀行は信頼できる相談先で、相続の手続きを任せて安心できる方も多くいらっしゃいます。ただ、私なら、任せる前に「実家などの不動産をどうしたいか」「家族の気持ちはそろっているか」を先に整理します。そのうえで、銀行にお願いすること、別の専門の方に確かめることを分けて考えます。
【初回相談0円】相続不動産の無料相談で、一緒に整理できること
- 銀行に相談する前に、相続全体で何があるかの整理
- 実家などの不動産を「売る・残す・貸す」の考え方
- 家族の気持ちや話し合いの進め方の整理
代表の松本が直接お話を伺います。相談は依頼ではありません。準備がそろっていなくても大丈夫です。
こんにちは。一般社団法人 士業会 代表理事の松本 淳一です。不動産の仕事に40年近く携わってきて、相続した家や土地のご相談もたくさん伺ってきました。
このコラムは「どうしてダメなのですか?」というシリーズです。みなさんが心の中で思っている素朴な疑問に、私ならどうするかをお答えしています。今回は「相続手続き、銀行に任せてはダメなのですか?」という疑問です。
はじめにお伝えしたとおり、ダメなことはありません。銀行には銀行の良さがあります。そのうえで、相続には法律、登記(家や土地の持ち主を国の記録に書くこと)、税金、不動産の値段、家族の気持ちが重なっているということを、少しだけ知っておいていただきたいのです。
銀行に任せたいと思うのは、自然なことです
親が亡くなったあと、「長年お付き合いのある銀行に任せたい」と考えるのは、とても自然なことです。
なじみがあって、信頼できる相手だから
親の預金がある銀行は、家族にとってなじみのある場所です。窓口の方の顔を知っていたり、ずっと取引をしてきた安心感があったりします。知らない事務所を一から探すより、相談しやすいと感じる方は多いと思います。
また、銀行の中には、相続の手続きをまとめて手伝うサービス(遺産整理のサービスなどと呼ばれます)を用意しているところもあります。忙しくて自分では手が回らない方にとって、心強い存在です。
銀行には銀行の良さがある
銀行は、お金の扱いや手続きにとても慣れています。預金の解約や名義の書きかえ、必要な書類の案内など、ていねいに進めてくれることが多いでしょう。必要な場面では、法律や税金の専門の方と連携して進める仕組みを持っている銀行もあります。
ですから、銀行に任せること自体を心配する必要はありません。大切なのは、「何を、どこまでお願いするのか」を自分でも分かっておくことです。
相続の悩みは、いくつもの分野が重なっています
相続の手続きと一口に言っても、中身はさまざまです。分野ごとに、主に誰が担当するのかを表にしてみました。
| 相続で考えること | 主な中身 | 主に関わる専門 |
|---|---|---|
| 預金 | 口座の解約・払い戻し、名義の書きかえ | 銀行など金融機関 |
| 法律 | 相続人は誰か、遺言の扱い、相続放棄、話し合いがまとまらないとき | 弁護士・司法書士など |
| 登記 | 家や土地の名義を相続人に書きかえる | 司法書士 |
| 税金 | 相続税の申告、売ったときの税金や特例 | 税理士 |
| 不動産の値段・使い方 | 実家を売る・残す・貸す、値段の見通し | 不動産の専門家 |
| 家族の気持ち | 誰が何を引き継ぐか、思い出の家をどうするか | 家族みんな(そばで聞いてくれる人) |
それぞれの専門には、担当する範囲がある
表を見ていただくと分かるように、相続には多くの分野が関わります。銀行、弁護士、司法書士、税理士、不動産会社。どの方も、自分の担当の分野ではとても頼りになります。そして、それぞれに守るべき立場や担当範囲があります。
これは、どなたかが足りないということではありません。法律で決められた仕事の範囲があったり、得意な分野が違ったりするのは当たり前のことです。だからこそ、相談する側が「全体」を意識しておくと、話がスムーズに進みます。
不動産は、手続きだけでは決まらない
預金は、分け方が決まれば手続きで進められることが多いものです。一方、実家などの不動産は、「売るのか」「誰かが住むのか」「貸すのか」を決めないと、手続きの形が決まりません。そして、その答えは家の値段、税金、家族の気持ちによって変わります。
相続登記は2024年4月から義務になり、相続で取得したことを知ってから原則3年以内に行うことになっています。名義の書きかえ自体は手続きですが、「誰の名義にするか」を決めるところは、家族の話し合いと不動産の見通しが欠かせません。
私なら、任せる前にこれを整理します
銀行に任せるかどうかを決める前に、私がご相談者と一緒に整理することをお伝えします。
財産の全体と、借金があるかどうか
まず、親の財産に何があるかを書き出します。預金、家や土地、株、保険。そして、借金があるかどうかも大切です。借金が多い場合は、相続放棄(財産も借金も引き継がないこと)を考えることもあります。相続放棄の期限は、自分のために相続が始まったことを知った時から原則3か月以内です。
財産の調べ方は「親の財産が分からないとき、預金・不動産・借金をどう調べる?」でくわしくお話ししています。
実家をどうしたいか、家族の考えはそろっているか
次に、実家や土地をどうしたいかを考えます。家族の中で「売りたい」「残したい」と考えが分かれていることは、めずらしくありません。私の経験では、相続でいちばん時間がかかるのは、書類よりも家族の気持ちがそろうまでのことが多いのです。
家族の考えがそろっていれば、手続きは進めやすくなります。まだそろっていないなら、手続きを誰かに任せる前に、話し合いの場をつくることが先になります。
期限があるものを並べておく
相続には期限があるものがあります。相続放棄は原則3か月以内、相続税の申告は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内、相続登記は取得を知ってから原則3年以内です。これらを紙に並べておくと、何を先にすべきかが見えてきます。
銀行に相談するときに、確かめておきたいこと
銀行に相続の手続きをお願いすると決めた場合、次のようなことを確かめておくと安心です。
お願いできる範囲と、費用の考え方
銀行のサービスの中身や費用は、銀行ごと、また財産の内容によって変わります。どこまでを銀行がしてくれて、どこからは別の専門の方にお願いすることになるのか。費用はどのように決まるのか。最初にていねいに説明してもらい、納得してから決めることが大切です。
説明を聞いて分からないことがあれば、遠慮なく質問してください。銀行の方も、納得して任せてもらうことを望んでいるはずです。
不動産をどう扱うか
実家などの不動産がある場合は、その不動産をどう扱うのかを確かめておきましょう。名義の書きかえだけなのか、売る場合の相談にものってもらえるのか。売るなら、税金の特例を使えるかどうかも関わってきます。親が住んでいた家などは、条件を満たすと売却益から最大3,000万円を差し引ける特例がありますが、売る期限などの条件があります。
売る前に確かめたいことは「相続した不動産を売りたい」でもまとめています。
家族みんなが内容を知っているか
相続人が何人もいる場合、一人だけが銀行と話を進めると、ほかの家族が「聞いていない」と感じることがあります。誰に何をお願いしたのか、家族みんなが知っている状態にしておくと、あとで気持ちのすれ違いが起きにくくなります。
全体を一緒に見てくれる味方を、最初につける
ここまでお話ししてきたことをまとめると、相続は「一つの分野」で終わらないということです。
銀行の良さを生かすためにも、全体を先に見る
全体が整理できていれば、「預金のことは銀行に」「名義のことは司法書士の先生に」「税金のことは税理士の先生に」と、それぞれの良さを生かしたお願いのしかたができます。銀行に任せる場合も、全体が見えていれば、安心して任せられます。
反対に、全体が見えないまま進めると、あとから「不動産のことはどうしよう」「家族がまだ納得していなかった」と気づくことがあります。これは誰かのせいではなく、相続がそれだけ多くの分野にまたがっているからです。
士業会では、まず私がお話を伺います
士業会は、違う専門を持つ仲間が、ワンチームで一人の相談者の問題を一緒に考える団体です。士業会では、まず代表の私、松本がお話を伺い、必要に応じて先生方に確認しながら、何から始めるかを一緒に整理します。
「銀行に任せようと思っているけれど、その前に全体を見ておきたい」というご相談も歓迎です。士業会がどんな団体かは「士業プロフェッショナル最強チーム、士業会とは?」でご紹介しています。
よくある質問
銀行に相続手続きを任せても大丈夫ですか?
はい、ダメなことはありません。銀行は手続きに慣れていて、安心して任せられる相談先です。お願いする前に、どこまでをお願いできるのか、不動産はどう扱うのかを確かめておくと、より安心です。
銀行のサービスの費用はどれくらいですか?
費用は銀行ごと、また財産の内容や状況によって変わります。ここで金額をお伝えすることはできませんので、銀行から直接説明を受け、納得したうえで決めてください。
親が亡くなると、銀行の口座はどうなりますか?
銀行が亡くなったことを知ると、多くの場合、その口座のお金は自由に出し入れできなくなります。相続人の話し合いがまとまる前でも、一定の額までなら払い戻しを受けられる制度もありますので、銀行に確かめてみてください。
実家の名義の書きかえも、銀行にお願いできますか?
銀行のサービスによっては、提携する専門の方を通じて手続きを進めてくれることもあります。内容は銀行ごとに違いますので、確かめてみてください。その前に「誰の名義にするか」を家族で決めておくことが大切です。
家族の話し合いがまとまっていなくても、銀行に相談できますか?
相談すること自体はできます。ただ、手続きを進めるには家族の合意が必要な場面が多くあります。話し合いがまとまっていない場合は、まず家族それぞれの考えを整理するところから始めるのがおすすめです。
士業会に相談したら、銀行には頼めなくなりますか?
そんなことはありません。士業会の相談は依頼ではありません。全体を整理したうえで、銀行にお願いするのがよいと思えば、そのようにお考えいただいてかまいません。あなたに合う進め方を一緒に考えます。
まとめ
相続手続きを銀行に任せることは、ダメではありません。銀行には、なじみがあって手続きに慣れているという良さがあります。
ただ、私なら、任せる前に財産の全体、実家などの不動産をどうしたいか、家族の気持ちがそろっているか、そして期限があるものを整理します。そうすることで、銀行にお願いすること、別の専門の方に確かめることがはっきりし、それぞれの良さを生かせます。
相続は、法律、登記、税金、不動産の値段、家族の気持ちが重なっています。一つの分野だけでなく、全体を一緒に見てくれる味方を最初につけておくと、落ち着いて進められます。
違う専門の仲間が、ワンチームであなたの問題を一緒に考えます。士業会を、あなたの味方に。
一般社団法人 士業会 代表理事 松本 淳一
コメント