「実家を残したい」「売って分けたい」「自分が住みたい」
相続した家や土地について、家族の意見が分かれることがあります。預金と違い、不動産はそのまま均等に分けにくい財産です。意見がまとまらなくても、誰かが悪いとは限りません。
まず必要なのは、結論を急ぐことより、家族が同じ情報を持つことです。 事実と数字をそろえ、それぞれが大切にしたいことを聞くところから始めましょう。
話し合う前に、事実をそろえる
家族それぞれが違う情報をもとに話していると、同じ言葉を使っていても、考えている前提がずれてしまいます。
まず、次のことを確認します。
- 相続人は誰か
- 遺言書はあるか
- 家と土地の名義は誰か
- 不動産はいくつあり、現在どう使われているか
- 売却するとしたら、価格と手取りはどのくらいか
- 残す場合、管理と修繕にいくらかかるか
「高く売れるはず」「維持費はそれほどかからないはず」といった予想だけで話を進めず、資料や見積もりを家族で共有しましょう。
「売りたい・残したい」の理由を聞く
意見の違いには、それぞれ理由があります。
思い出のある家を守りたい人。管理の負担を心配する人。今後の生活のためにお金が必要な人。親の介護を担ってきたことを分かってほしい人。
結論だけをぶつけ合う前に、何を守りたくて、何を心配しているのかを聞く。その理由が分かると、選択肢を考えやすくなります。
分け方ごとの、その後を考える
不動産の分け方には、例えば次のような道があります。
- 一人が不動産を取得し、ほかの相続人とお金で調整する
- 不動産を売り、その代金を分ける
- 複数人で共有する
共有は、一見すると公平に見えるかもしれません。ただ、将来売るときや大きな判断をするときに、共有者同士の調整が必要になります。
今の分け方だけでなく、数年後に誰が管理し、次にどう処分できるかまで考えて選びましょう。
話し合い中でも、期限を確かめる
家族の話し合いに時間がかかることはあります。それでも、期限のある手続きは別に確認が必要です。
相続税の申告が必要な場合、原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内が期限です。遺産分割が終わっていなくても、申告が必要になる場合があります。
相続登記にも原則3年以内という期限があります。話し合いがまとまらないときは、相続人申告登記などの対応について司法書士に相談しましょう。
士業会なら、こう考えます
士業会は、誰か一人の意見にすぐ賛成して結論を押しつけることはしません。
不動産の状況や価格、管理費用、税金、名義を整理し、必要に応じて専門家の視点を加えます。家族それぞれの希望を、同じ資料を見ながら話せる状態にする。そのうえで、売る・残す・誰かが引き継ぐなどの道を一緒に比べます。
よくある質問
Q. 一人だけ話し合いに応じてくれません。
A. 遺産分割は、原則として相続人全員で進める必要があります。連絡の取り方や次の手続きは状況で変わるため、早めに専門家へ相談しましょう。
Q. 親を介護してきたことは考慮されますか?
A. 家族の気持ちとして大切なことです。法律上どう扱われるかは、介護の内容など個別の事情で変わるため、資料を整理して専門家に確認しましょう。
Q. 家族の関係を壊したくありません。
A. まず事実と数字を同じように共有し、それぞれが何を大切にしたいかを聞くところから始めましょう。結論を急がないことが、話し合いを続ける助けになります。
まとめ
相続不動産で家族の意見が分かれたら、まず同じ情報をそろえること。次に、それぞれの気持ちを聞き、分け方ごとの将来まで比べることが大切です。
家族だけで抱え込まなくて大丈夫です。必要な専門家とともに、士業会が一緒に考えます。
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